栃木県鹿沼市 「文化活動交流館と旧帝国繊維倉庫」
鹿沼市中心市街地の北側、市立図書館や川上澄生美術館などの公共施設が並ぶ『鹿沼市文化ゾーン』と呼ばれる地域の一角に、大谷石と杉材のファザードが特徴的な建物と、大正時代初期に建てられた石造の蔵が、広場を囲むように建っています。
築年数も大きく異なり、一見不釣り合いな取り合わせにも思えますが、不思議に調和が取れています。
二十年程前から、この一帯は幾つかの施設が建てられており、すでに文化交流の拠点が形成されつつありましたが、平成八年、それらに隣接していた帝国繊維株式会社所有の二棟の石蔵を鹿沼市が譲り受けたことがきっかけで、改めて『鹿沼市文化ゾーン』整備事業計画として策定、文化活動交流館の建設計画が実現したといいます。
計画段階では、百年の歴史を持つ二棟の石蔵をどうするかが話し合われ、両方残して再生活用するという案、二棟とも解体して新たに建てるという案も出されましたが、最終的には一棟を残し、もう一棟は解体して石材を再利用する案に決定されたといいます。
解体された石蔵から出た大谷石や深岩石は、新しい建物の要所に使われ、そして平成十四年、鹿沼市文化活動交流館が完成したのです。
もちろん意匠という点もありますが、これまでの経緯を考える限り、保存計画のバランスの良さも、この二対の建物の調和に一役買っているのだと思います。
歴史の記憶を次の時代に伝える建物が文化交流の拠点「文化ゾーン」にある、とても自然なことですね。
この石蔵は文化活動交流館の創作工房や多目的スペースとして開放する計画だといいます(もうされているかも?)。
百年の歴史を持つ石蔵が、文化活動交流館とともにどのように活用されていくのか、とても楽しみです
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■鹿沼市文化交流館
■竣工:2002年
■設計:熊倉敬次建築設計事務所
■所在地:栃木県鹿沼市睦町1956-2
■ホームページ:https://www.city.kanuma.tochigi.jp/0313/info-0000000478-0.html